韓国の住まいは、まとまった保証金を預ける「チョンセ(伝貰)」と、毎月家賃を払う「ウォルセ(月貰)」という独自の制度で成り立っています。さらに、借りた部屋をまた貸しする「又貸し」も見られ、契約や保証金をめぐるトラブルの背景になることがあります。ここでは、韓国の賃貸のしくみと、又貸しの実態を整理します。

チョンセは、韓国独特の賃貸方式です。入居時に大家へまとまった保証金を預け、その代わりに毎月の家賃を払わずに住む、という仕組みです。
保証金は、物件価格のかなりの割合にのぼることもあります。契約が終われば、原則としてこの保証金は借り手に返還されます。大家は、預かった保証金を運用・活用できるという前提で成り立ってきた制度です。
借り手にとっては毎月の家賃負担がない利点がありますが、その分、入居時にまとまった資金が必要になります。この保証金の大きさが、後述するトラブルの火種にもなります。

ウォルセは、日本の賃貸に近い、毎月家賃を払う方式です。ただし韓国では、入居時に一定の保証金(ポジョングム)を預けたうえで、毎月の家賃を払う形が一般的です。
保証金の額はチョンセより小さく、そのぶん毎月の家賃が発生します。まとまった資金を用意しにくい場合や、短期間の入居では、ウォルセが選ばれやすくなります。
近年は、チョンセに必要な保証金の負担が大きいことなどから、ウォルセを選ぶ人も増えていると報じられています。どちらを選ぶかは、資金状況や居住期間によって変わってきます。
| 項目 | チョンセ(伝貰) | ウォルセ(月貰) |
|---|---|---|
| 入居時の保証金 | 非常に高額(物件価格の相当割合) | 比較的少額 |
| 毎月の家賃 | 原則なし | あり |
| 契約終了時 | 保証金は原則返還 | 保証金は原則返還(家賃は戻らない) |
| 向いているケース | まとまった資金があり長く住む | 初期費用を抑えたい・短期 |
| 主なリスク | 保証金が返還されない事態 | 毎月の家賃負担が続く |

韓国では、借り手が契約した部屋を、大家の許可のもとで別の人に貸す「又貸し(転貸)」が見られます。留学・出張・短期滞在など、期間限定で住まいを確保したいニーズがあるためです。
又貸しそのものは、契約や手続きが適正であれば問題になりません。ただし、大家の同意がないまま行われたり、保証金の扱いが曖昧なまま人が入れ替わったりすると、トラブルの温床になります。
特に、保証金が大きいチョンセ物件では、「誰が誰に、いくら預けたのか」が複雑になりやすく、返還や責任の所在をめぐって問題が起きることがあります。契約関係が二重・三重になると、当事者にも把握しづらくなります。
- 大家の同意がないまま又貸しされ、契約上の立場が不安定になる
- 預けた保証金が、契約終了時に返ってこない
- 又貸しした相手(転借人)と連絡が取れなくなる
- 誰が保証金を保管しているのか、責任の所在が曖昧になる
- 短期滞在後にそのまま所在が分からなくなり、精算が進まない

まず大切なのは、契約の当事者と条件をはっきりさせることです。誰が大家で、誰が借り手か、又貸しであれば大家の同意があるかを、書面で確認しておくと安心です。
保証金についても、金額・預け先・返還の条件を、契約書に明記しておくことが重要です。口頭の約束だけで大きな金額を動かすと、後から確認が難しくなります。
もし相手と連絡が取れない、保証金が返ってこない、所在が分からないといった事態になった場合は、事実関係の確認が必要になります。現地の状況を確かめることが、次の対応を考える第一歩になります。
- チョンセとウォルセは何が違いますか?
- チョンセは入居時にまとまった保証金を預け、毎月の家賃が原則かからない方式です。ウォルセは保証金が比較的少なく、毎月家賃を払う方式です。資金状況や居住期間によって選ばれ方が変わります。
- 韓国の又貸しは違法ですか?
- 又貸し自体がただちに違法というわけではありません。大家の同意があり、契約や保証金の扱いが適正であれば問題になりません。ただし、同意のない又貸しや、保証金の扱いが曖昧な場合はトラブルの原因になります。
- 保証金が返ってこない・相手と連絡が取れないときはどうすればよいですか?
- まずは契約内容と保証金の預け先を確認し、事実関係を整理することが大切です。相手の所在が分からない場合は、現地での状況確認が必要になることもあります。状況に応じて、専門家への相談を検討するとよいでしょう。
